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January 2007

新春第2冊!「ナイチンゲールの沈黙」

この作品には3つのナイチンゲールが含まれている...


「ナイチンゲールの沈黙」(宝島社・海堂尊)

内容は...とある大学病院のボンクラ診療医田口が目の摘出を控えるガキ2人・美声の担当看護師・有名歌手&マネージャーの面倒を見...られないので、謎の役人白鳥が助けに。

白鳥のオタク能力によりガキの調教は進む。看護師は大忙しのままだが...まあしょうがない。有名歌手は田口の特別薬処方で少しマシに。そんな中、ガキの1人を巻き込んだ殺人事件が発生。警察から白鳥並みのキレ者&ボンクラ刑事が送られてくる...

「看護師=ナイチンゲール」

「血を吐いても歌う小鳥のような歌手=ナイチンゲール」

2つのナイチンゲールのフュージョン。この2つが融合するまでが描かれ、融合した時に物語は集結する。

刑事がキレ過ぎてて前作で素晴らしい活躍をした名探偵、白鳥の良さが消えたのが惜しい...というあたりが書評としての描きどころなのだけど、そんなのは誰でも描ける。

で、今回、ケロロ軍曹(らしきもの)口調のガキ、田口達は前回の波動砲どころかニュータイプまで一般名詞としてる。ああ、作者ガンダムチルドレンだったのね~!!

というコトで、これは福井晴敏の「終戦のローレライ」と同じく、ガンダムバカが描くニュータイプ話なのである。ミステリーではなくSF。シリーズなのに前作とは全然違うジャンル、でもスタンスは同じ...ガンダムバカすげ~ありえね~!!

というか、ガンダムが小説の1ジャンルになっちゃったのかもね、コレ。

まあ、ガンダムだけでなく、歌技ってトコはマクロスだし、ラストなんかまんまダーティペア。途中で千里眼なんてあだ名のキャラも出てくるもの...この人、フェイント前にオタクだけが解るヒント入れちゃうんだよね~サービス精神多すぎ。描いてて楽しそう(笑)

でも、ガンダム抜きでもちゃんと読める。キャラクターコントロールも白鳥は残念だが、それでもかなりのレベルだ。


さて、もう1つのナイチンゲールにそろそろ登場していただかなければならない。

最後のナイチンゲールは

「ガンダムのもう一人の主役、シャア・アズナブルが最後に載ったモビルスーツ=ナイチンゲール」

である。2つのナイチンゲールが融合した時、最後のナイチンゲールの意味も含んでしまう。それが真のラストである。最後に登場するあの男はシャアなのだもの。


あと、1作目からあだ名だけ出て姿を現さないシリーズのヒロインがいるのが...。3作目にドカンと出てくる準備は出来たので次こそはヒロインが出ますように。

まあ、ヒロインだでなく、3作目のネタについては今回オープンリーチのように晒しているのも凄いけど。ジャンルを変えてもシリーズの骨の「病院の中の生死」を描くコトには揺らぎがなかったので期待したい。

ともかく、正月にまとめ読みするに値するシリーズであった!!

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新春第1冊!「チーム・バチスタの栄光」

あけましておめでとうございます!
飲み屋のカウンターで年越しした俺であります...


「チーム・バチスタの栄光」(宝島社・海堂尊)

この本は、絶対面白いだろう、だろうから...と楽しみに取っておいた本。手術道具の並ぶ黄色い装丁は非常に素晴らしく、これはハズレじゃないなと確信させるほどの出来。そして、やはり面白い本だった。今年はツイてる気がするぞ~!

内容は...とある大学病院のボンクラ診療医田口が心臓バチスタ手術の精鋭部隊「チーム・バチスタ」の失敗急増加(もちろん心臓手術なので失敗=死亡である)の原因を解き明か...せないので、とんでもない応援、謎の役人白鳥を呼ばれ、かき回されるというものである。

で、この作者は小説家としてはキャラクターの設定がちょっとクドいが素晴らしく(一流マンガ家並。俺はコト、キャラクターを造るコトに関しては小説家よりもマンガ家のほうがはるかに上と思っている)、また造られたキャラクターをとても良く自由に・かつ統率させて走らせて気持ちがいい。

作者が現役医師というコトで、病院内のやりとりはしっかり描写されるが、専門用語についても解りやすく邪魔にならない説明が入るので読むリズムは狂わない。途中参加の白鳥はそれこそややこしい言葉で人を狼狽させるのが得意な嫌味な奴だが、これもキャラ立てが良い為に読むにコツはいるが苦にならない。

2006年の「このミステリーがすごい!」大賞作なのだけど、途中途中にあまりにもフェイントを使っているコトとラストの解決方法が専門的すぎるので全体的には謎解きという楽しみは薄い。まあ、個別のフェイントについては楽しめるけど、読者が推理しても無駄な話ではあるので「ミステリ」好きな人には合わないのかも。

しかし、白鳥というキャラクターはもうコレ、その立ち位置も振る舞いも全て名探偵なのである。「名探偵と刑事」という組み合わせを「名探偵と医師」にシフトしたのがツボの作品であり、探偵モノの王道の設定を借りてリズムに乗ったフェイントの妙技を魅せるこの作品はなすがままに楽しいのである。

去年の高校サッカーの野洲がフェイントによる「カッコイイ」サッカーで頂点を極めたように、時流で旬な作品なのかもしれない。波動砲なんて言葉を一般名詞としてつるっと使うあたりも今時なのか...というのは次回にまかせよう。


というコトで、次回はこの作家の2作目の秘密を小説読みがついてコレない角度から解き明かす!!

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